リウマチ・膠原病

シェーグレン症候群

​シェーグレン症候群は、主に涙腺や唾液腺に自己免疫性に炎症がおき、乾燥症状をおこす疾患です。唾液腺の腫れ・痛み、関節痛、皮疹、間質性腎炎/尿細管性アシドーシス、間質性肺炎などをみる場合もあります。

Q:発症しやすい年齢は?女性が多いの?

 回答 

50代女性が最も多く,40〜70歳の女性が約8割を占めます。

全国で約10万人と推計されています。

Q:原因はあるの?

 回答 

単独のもの(原発性)もあれば,ほかの膠原病に伴うもの(二次性)もあります。

頻度は半々とされています。

Q:診断はどうやってするの?

 回答 

日本,米国,欧州でそれぞれ診断基準があります。

●日本の厚生労働省改訂診断基準(簡略化しています)

  1. 涙腺や口唇の生検病理組織検査でリンパ球浸潤を認める

  2. 唾液分泌量低下や唾液腺造影で異常を認める

  3. 涙液分泌量低下や角膜障害の所見を認める

  4. 抗SS-A抗体もしくは抗SS-B抗体が陽性である

上記のいずれか2項目が陽性である 

Q:どんな症状がでるの?治療法は?

 回答 

◉乾燥症状

8-9割の方において,目や口が乾くといった乾燥症状がでます。

涙が少なくなると乾燥性角結膜炎がおこり,目の痒み,熱感,異物感,羞明(まぶしく感じる)などの症状がでます。

→目の乾燥には,人工涙液(ヒアレイン・ミニ)や種々の点眼液(ジクアホソルナトリウム点眼液(ジクアス点眼液),レバミピド点眼液(ムコスタ点眼液))を用います。保存料が含まれる点眼薬を頻回に使用することは避けましょう。内服薬による治療は通常行われません。涙管プラグ挿入術(涙の出口に栓をすして涙を溜める)という手術が有効な場合があります。

唾液が少なくなると,虫歯が増えます。唾液腺が無痛性に腫れることがありますが,時に痛みや発熱,発赤を認めることがあります。

→虫歯が対策がもっとも大切です。定期的な歯科受診を心がけましょう。毎日の口腔ケアも大事です。口腔乾燥には,唾液分泌を刺激するガムやあめは有効です。内服薬では,塩酸セビメリン(エボザック),ピロカルピン(サラジェン),ブロムヘキシン(ビソルボン),漢方薬の麦門冬湯などは有効性が確認されています。人工唾液としてサリベートエアゾールがありますが,最近では口に含んで乾燥を防ぐ口腔ジェルが色々と市販されるようになったので,それらも有用です。

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◉関節痛

関節炎所見を認めることがありますが,関節リウマチのように関節が腫れることは少ないです。関節破壊や変形はほとんどありません。

→関節リウマチのように治療を行うことはまれです。痛みが強い場合,非ステロイド性抗炎症薬を用いることはあります。

 

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◉皮疹

再発を繰り返す環状紅斑や浮腫状円板状紅斑は特徴的な皮膚症状です。全身性エリテマトーデスにも同じような皮膚症状を認めることがあるので,鑑別が必要です。

 

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◉間質性腎炎/尿細管性アシドーシス

原発性シェーグレン症候群の2-3割の方に腎障害を認めます。その多くに症状はなく,尿を濃縮力低下,酸性化障害を示します。

→腎障害が進行していくことは稀のため,腎機能を保護する対症療法が主になります。

◉間質性肺炎

間質性肺炎は,肺の最小単位である肺胞に炎症が起こり,線維化とよばれる硬化をきたして酸素が取り込みにくくなる病気です。シェーグレン症候群の1-2割の方に痰を伴わない咳や気道過敏などの呼吸器症状を認めます。

→まれに急性に発症することがあるので,その時はステロイドや免疫抑制剤による治療を行います。

◉レイノー現象

四肢末梢の血管の攣縮(れんしゅく)=収縮がおこり,血流が障害されて皮膚が白〜紫〜赤色に変化します。3割の方にレイノー現象を認めます。寒冷刺激が最も原因として多いですが,冬だけではなく,夏でも冷房や冷蔵庫の冷気で引き起こされます。ストレスや喫煙も原因となります。

→まずは寒冷刺激やストレスを避けること,禁煙することが大切です。内服治療では,末梢血管拡張薬や抗血小板剤が適応になります。

 

◉血液疾患

高ガンマグロブリン血症,悪性リンパ腫をまれに認めることがあります。定期的な血液検査が必要です。

​◉抗SS-A抗体陽性

抗SS-A抗体陽性の妊婦は,胎児に心ブロックを引き起こす可能性があるため,胎児の注意深い経過観察が必要です。

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