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新型コロナウイルスに、自分が、家族が感染したらどうしたらいいの?


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行し始めてから約1年が経過しました。世界でワクチン接種が始まったものの、まだまだ収束する気配はありません。

そのような中で、特に高齢者やリウマチ性疾患を罹患されている方々は、不安な日々を過ごされていることと思います。三密を避け、マスクを着用し、手洗い、うがい、アルコール消毒を励行することについては、もはや言うまでもないでしょう。


「持病があって治療を受けている人が、新型コロナウイルスに感染した時にどうすれば良いか」をまとめまてみました。最後に引用文献を記しています。


Q1:持病があると新型コロナウイルスに感染しやすくなるの? もし感染したら、いつもの内服薬はどうしたら良いの? A1:ステロイドや免疫抑制剤、抗リウマチ薬、生物学的製剤治療を受けていても、新型コロナウイルスに感染しやすくなるというデータはありません。ですので,心配がゆえに薬を自己判断で減らしたり止めたりしないようにしてください。持病が悪化すると、逆に感染症にかかりやすくなるからです。

COVID-19に関わらず、感染症時はなるべく早く主治医に相談してください。できれば、普段から感染症時の対応を聞いておきましょう。原則として、ステロイド内服は継続してください。免疫抑制剤、抗リウマチ薬、生物学的製剤治療は減量もしくは休薬する場合が多いですので、主治医に相談してください。


Q2:家族内に感染者が出た場合(感染者の濃厚接触者となった場合)、どのような対応が必要なの? A2: 厚生労働省より、家庭内での注意事項が示されています。要点は下記のとおりです。

1. 感染者と他の同居者の部屋を可能な限り分ける 2. 感染者の世話をする人は、できるだけ限られた方(一人が望ましい)にする 3. できるだけ全員がマスクを使用する 4. こまめにうがい・手洗いをする 5. 日中はできるだけ換気をする 6. 手で触れる共用部分(取っ手、ノブなど)を消毒する 7. 汚れたリネン、衣服を洗濯する 8. ゴミは密閉して捨てる

濃厚接触者の方は、既に感染している可能性もあります。感染者の症状が軽快してから 14日間経過するまでは、健康状態を注意深く見守ってください。


Q3:現在のCOVID-19の治療はどうなっているの? A3: ・現時点でCOVID-19に対し保険適応を有する薬剤は抗ウイルス薬レムデシビルおよびステロイド薬デキサメタゾンがあります。いずれも人工呼吸器や酸素投与が必要な重症者に対して投与されています。

・抗インフルエンザ薬ファビピラビル(商品名アビガン)は有効性が明確ではないと、一旦は保険適応承認を見送られましたが、今後臨床試験結果次第では再審議になる可能性があります。

・気管支喘息薬シクレソニド(オルベスコ吸入薬)は、一時使用されることがありましたが、その後肺炎が増悪することが有意に多いことが示されました。現時点ではCOVID-19の治療として有効性は確認されていません。以前から気管支喘息の治療として使用している方については、自己判断で中止しないように注意してください。

・IL-6阻害薬トシリズマブ(アクテムラ)やサリルマブ(ケブザラ)、JAK阻害薬バリシチニブ(オルミエント)はいずれもリウマチ治療に用いられていますが、COVID-19に伴う過剰な免疫反応を抑えることができるのではないかと期待され、現在臨床試験が行われています。(いずれもCOVID-19の予防に用いられるものではありません。)

・抗マラリア薬ヒロキシクロロキンは、トランプ大統領がCOVID-19罹患時に内服していましたが、現在は治療効果はないとされており治療薬として推奨されていません。

新たな治療として新型コロナウイルスに対する中和抗体製剤が開発されており,アメリカでは既に緊急使用の許可が出ています。日本ではこれから開発が始まると見られています。


Q4:COVID-19ワクチンはどのようなものがあるの? A4:ドイツのビオンテック社とアメリカのファイザー社が開発したmRNAワクチンが最も早く承認され,世界で接種開始されています。現時点で日本で唯一承認されているのも,このワクチンです。新型コロナウイルスには表面にタンパク質からなる突起(スパイク)があり,このスパイクタンパクの設計図であるmRNAをワクチンとして体に投与することで,体内に抗体を作らせます。全ウイルスの形では体内に入らないため,ワクチンを接種することでCOVID-19になるわけではありません。

今後は,モデルナ社のmRNAワクチンやアストラゼネカ社のウイルスベクターワクチンが次々に承認されるものと思われます。


Q5:免疫を抑える薬を飲んでいたり、がんを持っていたりする患者は、ワクチンを受けた方が良いの? A5:インフルエンザワクチン同様,ワクチン接種により完全に新型コロナウイルスの感染を防ぐことはできません。しかし,重症化しにくくなることは分かっています。ステロイドをプレドニゾロン換算で5mg/日以上または免疫抑制剤、生物学的製剤、JAK阻害剤のいずれかを使用中の方は,優先してワクチンを接種した方が良いと考えます。ただし,これから接種予定のワクチンがもともとの病気を悪化させるかどうかはわかっていませんので,主治医と十分に相談してください。


山本


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